卒業生・修了生メッセージ

橋本 藤子 さん

心理・福祉学部 社会福祉学科卒業

心理・福祉学部 社会福祉学科卒業

勉強に集中している間は、妻や母ではなく、
「私」になることができました。

2度目の聖徳入学

聖徳の短大通信課程を卒業し、幼稚園教諭、保育士として過ごした約20年間の中で、子育てに悩む保護者の方々からたくさんの相談を受けました。子どもの個性や家庭環境によって悩みは様々。また、時代が変化する中で新しく生まれる悩みもあります。私自身の経験だけではケアしきれないケースも多く、ただ共感することしかできない自分にもどかしさを感じていました。具体的な解決策を示すために、新しい知識を学びたい。そう思い始めた矢先に転機が訪れました。長男の大学進学と三男の小学校入学、さらに夫の起業が重なったのです。「こうなったら、私が学び始めるのも、今しかない!」と、大学進学を決意しました。
 聖徳を選んだのは経済的な負担が少ないこともありますが、何より短大時代の学習サポートが、通信制とは思えないほど手厚かったからです。大学でも、それは変わりませんでした。先生方との距離は、短大時代以上に近かったかもしれません。とりわけ社会福祉学科は、学生一人ひとりと真剣に向き合う“熱い”先生ばかりで、「どうしてこんなに私のことを知っているのだろう?」と驚いてしまうほど的確なアドバイスをいただきました。また、スクーリングで様々なバックグラウンドを持った仲間と出会い刺激を受けたことで、モチベーションを維持して学習することができました。

地域福祉の道へ

学んだことの中で特に大きな影響を受けたのは実習ですね。私がお世話になった市の社会福祉協議会は幅広い福祉サービスを提供しており、高齢者・障がい者の訪問介護や児童相談所など、様々な角度から「地域福祉」を学べる環境でした。地域の住民と触れ合う中で、想像以上に多くの人が支援を必要としていることに気づいたのです。例えば団地で暮らす高齢者を訪ねたとき、別の部屋で洗濯物が何日も干しっ放しになっているという報告を受け、すぐに様子を見に行ったこともあります。この実習をきっかけに地域福祉についてもっと知りたいと思い、それまで勤めていた幼稚園を辞め、日常生活自立支援事業の生活支援員として働き始めました。
 卒業後は再び保育の仕事に就きましたが、聖徳で学んだ相談援助の知識や、相手の立場になって考える力は、母子支援というかたちで今も活かされています。子どもが集団生活になじめるか不安なお母様には、「心配ですよね。大人でもドキドキしますものね」と声をかけるなど、相手の心に寄り添った言葉が自然と出るようになり、悩みの背景にある親子関係や生活環境まで想像できるようになりました。また、保育日誌や連絡帳を書く時には、レポート作成で身につけた要点をわかりやすくまとめるスキルが役立っています。

学び続けたい!

勉強時間は主に子どもが起きる前の朝4時から6時。他にも食事の支度をしながらCDの教材を聞くなど、すき間時間を有効活用しました。学習が思うようにはかどらず、挫けそうになったこともありましたが、乗り越えられたのは家族がいつもそばにいてくれたから。休日はなるべく子どもたちと一緒に過ごすように努め、スクーリングが終わった後などには奮発して家族そろってホテルに宿泊し、のんびり過ごす日を作りました。留守番をがんばってくれた子どもたちへのご褒美のつもりでしたが、自分自身へのご褒美でもあったのかもしれませんね(笑)。
 振り返ると、在学中は本当に毎日が充実していました。家族の存在はもちろん大切ですが、勉強に集中している間は妻でも母でもなく、「私」。そんなふうに考えると生活に潤いが生まれ、家事や仕事にもより前向きに取り組めるようになりました。
 新しいことを学ぶ楽しさを知った今、心理学にも興味が湧いてきました。幼稚園教諭二種免許の一種への切替えなど、キャリアアップや転職に活かせる免許・資格にもぜひチャレンジしたいと思っています。その時はもちろん、もう一度聖徳で学ぶつもりです。次はどんな新しい世界が開けるか、そしてスクーリングでどんな仲間と出会えるか、想像するだけで今からワクワクします。