卒業生・修了生メッセージ

山村 さくら さん

児童学部 児童学科 幼稚園教育コース(現:幼稚園教員養成コース)卒業

児童学部 児童学科 幼稚園教育コース(現:幼稚園教員養成コース)卒業

「先生」としてではなく、「一人の人間」として
子どもたちの心とつながっていたい。

進むべき道がわかった

きっかけは、大学4年の夏休み。その頃、私は外国語学部で英語を学んでいました。洋楽が好きなこともあり、興味を持った英語でしたが、思うように上達せずに時間だけが経っていき……。就職活動を始めたものの、「ここで働きたい!」と思える企業も見つからず、「無理をして会社に入ってすぐにやめてしまうぐらいなら、ゆっくり将来を考えてみれば?」という母の言葉に甘えるように毎日を漠然と過ごしていました。
 そんな時に見つけたのが、近所の学童保育でのアルバイトの募集。私自身が子どもの頃に通っていた場所でもあり、「どうせ暇だから、1ヵ月ぐらいやってみようかな」と軽い気持ちで始めたのです。子どもは好きなほうでしたが人並み程度。ところが、アルバイトが始まると、初日から楽しくて仕方がありませんでした。夏休みを学童保育で過ごす子どもたちに、かつての自分の姿が重なったこともありますし、とにかく小学生たちと話している時の活き活きとした自分に気づきました。ちょうどその頃、幼稚園教諭の免許か保育士の資格があれば学童の先生になることができ、将来的に認定こども園で働くことを考えると両方取得したほうが良いことを知り、自分の進むべき道が明確になりました。アルバイト先に聖徳の通信で資格を取得した方が働いていて、「聖徳なら最短2年で目標が達成できる」と教えていただき、大学卒業後に聖徳に入学したのです。

濃密な2年間

「聖徳はピアノが厳しい」という評判は入学前から聞いていました。私自身は小学校に上がる前に少し習っていただけだったので、将来、現場で必要になるなら厳しい環境で学んだほうがいいと考えていました。どうせ大変なら集中して学んでしまおう。そう決心し、毎日1~2時間を練習に費やし、子どもの頃に習っていたピアノの先生のもとにも再び通い始めました。そんな努力が実り、入学1年目でピアノの試験をすべてクリア。幼稚園での実習で楽譜だけ渡された際に、すぐに子どもたちの前で弾けた時は、「がんばっておいてよかった」と心から思いました。
 聖徳で学んだ2年間は本当に濃密な時間でした。学習をしながら、学童保育でのアルバイトも午後だけ続けており、子どもたちがずっとそばにいることが勉強へのモチベーションにつながったと思います。滞りなくスクーリングに参加できるように、アルバイト先の方々には配慮をしていただきました。また、キャンパスで情報共有ができる仲間と出会えたことも大きかった。難しい科目の攻略法や、実際に幼稚園で働いた経験のある方々から聞く現場の話は、レポート作成や試験、実習でとても役立ちました。
 レポートでは「これでいいのか?」と不安を抱きながら提出したこともありましたが、先生から直接教わる機会を持つことで、自信を持って知識を深めることができました。聖徳のスクーリングは本当に役立つ学びの場だったと思います。

分岐点は実習

実習では幼稚園、保育所、児童養護施設を経験することで、保育者として自分が何をしたいのかが見えてきました。感じたのは、幼稚園や保育所が先生という立ち位置で子どもと関わる場であるのに対して、一人の人間として関わっていけるのが児童養護施設だということ。3歳から18歳までの子どもたちが入所している児童養護施設なら、子どもから大人へと成長していく彼ら一人ひとりと時間をかけて向き合うことができます。そこに自分がやってみたい保育がありました。
 聖徳を卒業して約半年、児童養護施設で働く日々はスムーズに行かないことばかり。子どもの甘えを受け止めてあげたい一方で、集団生活の迷惑になることは、しっかりと教え諭さなければならず、衝突してしまうこともあります。それでも、部屋の中をずっと走りまわっていた子どもが、「わかってるよね」のひと言ですぐに静かにしてくれることも増えてきました。子どもの発達をはじめ、聖徳での2年間で得た知識や経験のすべてが、子どもたちとの日々の触れ合いに活かされ、大きな自信につながっています。
 学習がうまくいくのもいかないのも、通信教育ではすべてが自己責任。そこで私の支えになったのが、入学前に足を運んだ説明会で聞いた卒業生のひと言でした。「あなたを必要としている子どもたちがどこかで必ず待っています。だから1日も早く資格を取得して欲しいのです」。自分が成長していくことが、子どものためになる。そんな仕事に大きなやりがいを実感しています。