2022.05.26 卒業生・修了生メッセージ 直井 夕岐子 さん 児童学研究科 博士前期課程 [保育学]修了 児童学研究科 博士前期課程 [保育学]修了 短大卒からの大学院入学。 これまでのキャリアを活かしながら学べる道が開けました。 保育の広い知見を身につけたい。学ぶ意欲に応えてくれた「入学資格審査」。 流山市役所に入庁して保育所保育士として18年間勤務したのち、もっと新任保育士の質を高めたいという思いから、保育士を養成する専門学校の専任講師へキャリアチェンジしました。講師としては、保育所での現場経験を活かして授業をするつもりでいたのですが、そこで感じたのは保育士を養成することの難しさです。また、変化する保育の制度や法の知識についても未熟だと気づきました。そこで、講師として専門性を高めて広い知見を身につけようと、働きながら進学することを決意しました。 聖徳大学短期大学部を卒業したこともあり、当初は通信制の大学への進学を考えていたのですが、出願資格を調べるうちに短大卒でも大学院進学を目指せる「入学資格審査」の存在を知りました。これは大学卒業資格がない人の入学を支援する制度で、社会人の学ぶ意欲に応えてくれるものでもあります。審査方法は書類審査と面接で、これまでの実務経験のか、研究会などでの発表実績も審査の対象になります。 面接では、今までのキャリアや学ぶ目的に関する質問も多く、学ぶ意欲をしっかり評価してくれていると感じました。「入学資格審査」に認定されることで大学院出願資格を取得し、その後の入試も合格できたため、短大卒から大学院への進学が叶いました。 自分で仕事と勉強のバランスが調整できるのは通信制ならでは。 子どもがまだ小さく、専任講師の仕事が週3日だったので、仕事を計画的に進めることで勉強時間をつくり、メリハリをつけて取り組むように心掛けました。例えば、自宅から大学が近かったので、スクーリング以外の日にも頻繁に足を運び、調べものや勉強のために大学の図書館を利用するなど、自宅以外で取り組むことも工夫の一つです。聖徳の図書館は質も高く、聖徳大学の蔵書だけで十分に論文を書けました。 また、趣味である読書の時間をすべて勉強にあてたのも効果的だったように思います。通勤電車での移動中や寝る前など、それまで読書をしていたスキマ時間は、勉強や研究に関する本を読んだり、勉強したりしました。 通信制を選ぶ理由は、仕事と家庭の両立など人それぞれだと思います。私にとって、仕事と勉強のバランスが自分で調整できる通信制の環境は大きな魅力でした。子どもが2人いるのですが、急に子どもの具合が悪くなった時などは、どうしても予定を変えざるを得ません。そういったこともあり、仕事と勉強、それぞれ頑張る時間を自分の生活に合わせてスケジュールを組み立てました。そのような工夫もあり、単位の取得が必要な科目のほとんどを1年次に取ることができました。 2年次は研究一筋です。早めに科目の勉強を終わらせておくことで、いろいろな知識を身につけてから研究に集中できたのが良かったと思います。保育というワードを中心に、研究も科目の試験もつながっていたように感じます。試験勉強が研究に役立つことも多く、仕事と勉強がうまくリンクしていました。 研究テーマは「実習日誌」に着目。 大学院では、1年次から修士論文の作成がはじまります。私の選んだ研究テーマは、「保育科学生の実習日誌記述における困難感」です。専任講師として学生を保育所へ送り出す立場になり、学生が実習中に毎日記述する「実習日誌」に、大きな負担や不安を感じていることを知りました。そこで、学生の助けになればと考えて、解決する方法を探すテーマに取り組みはじめたんです。 実習日誌は、真っ白な紙に書き込むので、何をどう書くべきなのか悩む学生も多いのですが、一方で、実習する保育所によって指導法が異なるため書き方を教えるのも難しいものです。では、学校としてはどこまで教えるべきなのか。その点について先行研究をして、50人ほどの学生にインタビューを行って困難感を分析しました。学生が持っている困難感を「評価に対する不安」「文章力のなさに対する不安」など、大変さのカテゴリーを設けて考察。こうすることで、困難に感じている要因が何かが明確に見えてくるので、解決に導くことができると考えたのです。 論文では、インタビューした中から8人のケースを扱い、書き上げました。インタビューをしていると、想定外の新たな気づきもありました。不安を抱えている学生であっても、現場で声掛けによって褒められると、書けるようになる場合も見られたのです。おそらく能力的には変化していないのですが、認められたという思いが自信になり、困難感が薄まったようです。 そのほか、指導が充分である保育所とそうではない保育所の差があることも見えてきました。その差は学生の学びの差にもつながってしまいます。この点は今後の課題として捉えて、保育の現場に活かしていきたいと考えています。 個人的な研究の成果として、学生が「実習日誌が大変だ」と訴えた時、漠然とした不安や困難感を分析して、具体的な助言ができるようになりました。また、学びを新たにしたことで、授業内容にも深みが出たと思います。私自身、学生の頃には直されない実習日誌を目指していましたが、研究に取り組んで「100点満点の日誌はない」と感じました。自分の中で永遠のテーマとして掲げ、記述したことを振り返りながら勉強しつづけていくのが日誌です。このことは学生にも伝えていきたいと思っています。 現場経験と結び付けられる指導者を目指したい。 働きながら通信制の大学院で学ぶことに不安を感じる人がいるかもしれません。でも、「学びたい」と思った時には、躊躇せず一歩踏み出した方がいいと思います。通信制で修士の取得を目指すには、仕事と勉強の両立が課題だと思いますが、ぜひ周囲の人への感謝の気持ちを忘れずにチャレンジしてみてほしいです。聖徳大学にはいろいろ相談する場所があり、職員の方に何でも相談することができますし、先生方もとても親身になって話を聞いてくださいます。私は在学中、指導教員に、はじめてで不安を感じていた論文のことや学生指導で困ったことなどを相談していました。また、面接に関しても柔軟に対応していただき、本当にありがたかったです。 現在、私は専門学校と並行して、聖徳大学児童学部でも指導しています。保育の質を上げていくには学生指導からだと思っています。現場経験と結び付けられる指導者を目指し、保育の楽しさや素晴らしさを伝える授業を通じて、保育士になりたいと思う人を増やしていきたいです。
保育の広い知見を身につけたい。学ぶ意欲に応えてくれた「入学資格審査」。
流山市役所に入庁して保育所保育士として18年間勤務したのち、もっと新任保育士の質を高めたいという思いから、保育士を養成する専門学校の専任講師へキャリアチェンジしました。講師としては、保育所での現場経験を活かして授業をするつもりでいたのですが、そこで感じたのは保育士を養成することの難しさです。また、変化する保育の制度や法の知識についても未熟だと気づきました。そこで、講師として専門性を高めて広い知見を身につけようと、働きながら進学することを決意しました。
聖徳大学短期大学部を卒業したこともあり、当初は通信制の大学への進学を考えていたのですが、出願資格を調べるうちに短大卒でも大学院進学を目指せる「入学資格審査」の存在を知りました。これは大学卒業資格がない人の入学を支援する制度で、社会人の学ぶ意欲に応えてくれるものでもあります。審査方法は書類審査と面接で、これまでの実務経験のか、研究会などでの発表実績も審査の対象になります。
面接では、今までのキャリアや学ぶ目的に関する質問も多く、学ぶ意欲をしっかり評価してくれていると感じました。「入学資格審査」に認定されることで大学院出願資格を取得し、その後の入試も合格できたため、短大卒から大学院への進学が叶いました。
自分で仕事と勉強のバランスが調整できるのは通信制ならでは。
子どもがまだ小さく、専任講師の仕事が週3日だったので、仕事を計画的に進めることで勉強時間をつくり、メリハリをつけて取り組むように心掛けました。例えば、自宅から大学が近かったので、スクーリング以外の日にも頻繁に足を運び、調べものや勉強のために大学の図書館を利用するなど、自宅以外で取り組むことも工夫の一つです。聖徳の図書館は質も高く、聖徳大学の蔵書だけで十分に論文を書けました。
また、趣味である読書の時間をすべて勉強にあてたのも効果的だったように思います。通勤電車での移動中や寝る前など、それまで読書をしていたスキマ時間は、勉強や研究に関する本を読んだり、勉強したりしました。
通信制を選ぶ理由は、仕事と家庭の両立など人それぞれだと思います。私にとって、仕事と勉強のバランスが自分で調整できる通信制の環境は大きな魅力でした。子どもが2人いるのですが、急に子どもの具合が悪くなった時などは、どうしても予定を変えざるを得ません。そういったこともあり、仕事と勉強、それぞれ頑張る時間を自分の生活に合わせてスケジュールを組み立てました。そのような工夫もあり、単位の取得が必要な科目のほとんどを1年次に取ることができました。
2年次は研究一筋です。早めに科目の勉強を終わらせておくことで、いろいろな知識を身につけてから研究に集中できたのが良かったと思います。保育というワードを中心に、研究も科目の試験もつながっていたように感じます。試験勉強が研究に役立つことも多く、仕事と勉強がうまくリンクしていました。
研究テーマは「実習日誌」に着目。
大学院では、1年次から修士論文の作成がはじまります。私の選んだ研究テーマは、「保育科学生の実習日誌記述における困難感」です。専任講師として学生を保育所へ送り出す立場になり、学生が実習中に毎日記述する「実習日誌」に、大きな負担や不安を感じていることを知りました。そこで、学生の助けになればと考えて、解決する方法を探すテーマに取り組みはじめたんです。
実習日誌は、真っ白な紙に書き込むので、何をどう書くべきなのか悩む学生も多いのですが、一方で、実習する保育所によって指導法が異なるため書き方を教えるのも難しいものです。では、学校としてはどこまで教えるべきなのか。その点について先行研究をして、50人ほどの学生にインタビューを行って困難感を分析しました。学生が持っている困難感を「評価に対する不安」「文章力のなさに対する不安」など、大変さのカテゴリーを設けて考察。こうすることで、困難に感じている要因が何かが明確に見えてくるので、解決に導くことができると考えたのです。
論文では、インタビューした中から8人のケースを扱い、書き上げました。インタビューをしていると、想定外の新たな気づきもありました。不安を抱えている学生であっても、現場で声掛けによって褒められると、書けるようになる場合も見られたのです。おそらく能力的には変化していないのですが、認められたという思いが自信になり、困難感が薄まったようです。
そのほか、指導が充分である保育所とそうではない保育所の差があることも見えてきました。その差は学生の学びの差にもつながってしまいます。この点は今後の課題として捉えて、保育の現場に活かしていきたいと考えています。
個人的な研究の成果として、学生が「実習日誌が大変だ」と訴えた時、漠然とした不安や困難感を分析して、具体的な助言ができるようになりました。また、学びを新たにしたことで、授業内容にも深みが出たと思います。私自身、学生の頃には直されない実習日誌を目指していましたが、研究に取り組んで「100点満点の日誌はない」と感じました。自分の中で永遠のテーマとして掲げ、記述したことを振り返りながら勉強しつづけていくのが日誌です。このことは学生にも伝えていきたいと思っています。
現場経験と結び付けられる指導者を目指したい。
働きながら通信制の大学院で学ぶことに不安を感じる人がいるかもしれません。でも、「学びたい」と思った時には、躊躇せず一歩踏み出した方がいいと思います。通信制で修士の取得を目指すには、仕事と勉強の両立が課題だと思いますが、ぜひ周囲の人への感謝の気持ちを忘れずにチャレンジしてみてほしいです。聖徳大学にはいろいろ相談する場所があり、職員の方に何でも相談することができますし、先生方もとても親身になって話を聞いてくださいます。私は在学中、指導教員に、はじめてで不安を感じていた論文のことや学生指導で困ったことなどを相談していました。また、面接に関しても柔軟に対応していただき、本当にありがたかったです。
現在、私は専門学校と並行して、聖徳大学児童学部でも指導しています。保育の質を上げていくには学生指導からだと思っています。現場経験と結び付けられる指導者を目指し、保育の楽しさや素晴らしさを伝える授業を通じて、保育士になりたいと思う人を増やしていきたいです。